妻が夫の遺産全額を相続した場合
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妻が夫の遺産全額を相続した場合


・借入債務の承継について
・全額債務を相続することについて

借入債務の承継について

たとえば、相続人が妻と子の2人で、夫が亡くなったことに伴い妻が夫の遺産全額を相続した場合は、妻に借入債務の全額が請求されるのでしょうか。

結論から申し上げますと、事業者は原則として妻からは借入債務の2分の1までしか請求できません。

判例上は、金銭債務に対する支払いなど、性質や価値を損なわないで分割できる給付を目的として過分債務については、法定相続分に応じて当然に分割して相続人に承継するとされています。

わかりやすくいうと、相続債務というのは当然に法定相続分に従って分割されるということです。

なので、この場合の債務は、妻が2分の1を、子が4分の1ずつ(残りの2分の1をさらに2分の1ずつ分け合うことになる)相続することになります。

全額債務を相続することについて

妻が全額相続するのだから妻が全額債務を相続するということはできるのでしょうか?

もちろん、そういったこともできます。もし妻と子の間でそのような合意があるのであれば、免責的債務引受契約が成立します。

ただ、この契約だけでは対外的な効力がありませんので、その後債権者の同意と承認が必要です。

その同意と承認が得られれば、免責的債務引受契約の成立時にさかのぼって効力が発生することになり子は債務を免れることができます。

なので、その場合には債権者は妻に全額請求できることになります。

関連トピック

・相続の限定承認について
・限定承認者の広告について

相続の限定承認について

限定承認というのは、相続人が相続によって得た積極財産を限度にして、相続を承認することをいいます。

では具体的にみていきましょう。

まず相続人が限定承認をするには、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に財産目録を作成します。そして、それを被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に限定承認の申述を行います。

また、もし相続人が何人かいる場合には、共同して行わなければなりません。その場合は、家庭裁判所が相続人の中から、相続財産管理人を選任します。

これによって、この選任された相続財産管理人が、他の相続人のかわりに相続財産の管理と債務の弁済に必要ないっさいの行為を行うことができるようになります。

このとき、限定承認は相続人全員が共同で行わなくてはならないので、一人でも単純承認してしまうと、他の相続人は相続放棄するか、単純承認するしかなくなります。

さらに、限定承認する前に相続財産の一部でも処分してしまうと、単純承認とみなされてしまいますので、それ以後は限定承認をすることができなくなってしまいますので注意が必要です。

限定承認者の広告について

限定承認者は、限定承認した日から5日以内にすべての相続債権者と受遺者に対して、限定承認をしたことを官報に広告する必要があります。

その際に、2か月以上の期間を定めて、その期間内に債権者は請求を申し出るよう広告します。また、それとともに、知れたる債権者には催告をする必要もあります。

これによって、限定承認者は、上記で定めた期間が満了するまでは、債権者と受遺者への弁済を拒むことができます。

上記の期間が満了したら、限定承認者は相続財産から、その期間内に申し出た債権者や知れたる債権者に、その割合に応じて弁済することになります。

このとき、抵当権など優先弁済権のある債権者には、他の債権者よりも優先して弁済することになります。

ちなみに、受遺者は相続債権者への弁済がされた後にしか弁済を受けられないことになっています。


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