破産手続開始の申立て直前の財産移転
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破産手続開始の申立て直前の財産移転


・破産手続開始の申立ての直前に破産者の財産を移転させた場合について
・債権者の対応について

破産手続開始の申立ての直前に破産者の財産を移転させた場合について

さて、破産手続開始の申立ての直前に破産者の財産を移転させた場合はどうなるのでしょうか?

まず、破産者の破産手続開始の申立て前の法律行為については、一定の要件の下に破産管財人が破産財団のためにその行為を否認することができます。

そもそも破産手続が開始されると、債務者の保有していた財産は破産財団の財産になりますので、破産管財人の管理・処分権限に服することになります。

わかりやすく言うと、破産手続開始後は破産者からの財産の取得はできなくなるので、仮に取得した場合には無効になるということです。

けれども、破産手続の直前までなら財産を移転させることができるとしてこれを無制限に認めてしまうと、直前に財産を隠したり、特定の利害関係のある債権者だけに財産を引き渡すことができてしまいます。

これでは、適性かつ公平な清算手続きが行われない可能性がでてきます。

そこで、こういった弊害をなくすために否認権を破産管財人に認め、一定の要件の下に債務者の財産移転前の状態にさかのぼらせることにしたのです。

債権者の対応について

では、債権者としてはどのように対応することになるのでしょうか?

債権者としては、移転した理由や移転の時期、消滅した債権等の額と財産額の比較、破産者の害意や財産の移転を受けた人の認識などを調査すると思われます。

されに、それが詐害行為や偏頗行為などの否認できるケースに該当するようであれば、それを破産管財人に通知し、その財産を破産財団のために否認してもらい、移転された先から取り戻させるということが考えられます。

関連トピック

・破産法の否認権とは…
・詐害行為の否認、偏頗行為の否認、無償行為の否認について

破産法の否認権とは…

破産法の否認権には、詐害行為の否認、偏頗行為の否認、無償行為の否認、相当対価処分の場合の否認があります。

詐害行為の否認、偏頗行為の否認、無償行為の否認について

それでは、個別具体的にみていきましょう。

■詐害行為の否認
基本的には、破産者の詐害意思の立証により否認できます。

●破産者が破産債権者を害することわかっていて行った行為
…この場合は時期に関係なく否認できます。一般的には危機の兆候があった日以降になると思われます。
けれども、この行為によって利益を受けた人が破産債権者を害する事実を知らなかった場合には否認できません。

●破産者が支払いの停止や破産手続開始の申立てがあった後に行った、破産債権者を害する行為
…この場合は、破産者が行った債務の消滅行為で、債権者の受けた給付が、消滅した債権の額に比べて過大な場合に、その過大な部分だけを否認することができます。
けれども、この場合も、この行為によって利益を受けた人が支払いの停止があったことを知らなかったときや、破産手続開始の申立てがあったことを知らなかったとき、破産債権者を害する事実を知らなかったときは否認することはできません。

※詐害行為
…ここでは、債務者の財産を安く売却したり、多額の債務を負担したりして債務者の全体財産を減少させるなど、全債権者を害するような行為のことをいいます。

■偏頗行為の否認
ある危機的状況が生じた時点からの偏頗行為について否認することができます。

●約定どおりの弁済、担保提供予約にもとづく担保提供などの場合
…この場合は、支払不能になった後や破産手続開始の申立てがあった後にされた行為が否認の対象になります。
けれども、債権者が支払不能や支払停止があったことを知らなかったときや、破産手続開始の申立てがあったことを知らなかったときは否認することはできません。

●義務がないのに既存債務のために、新たな担保を設定したり期限が来ていないのに弁済したりするような場合
…このような場合は、さらにさかのぼり、支払不能になる前30日以内になされた行為が否認の対象になります。
けれども、この場合も、債権者がその行為の当時、他の債権者を害する事実を知らなかったと証明できれば否認することはできません。

※偏頗行為
…債権者間の平等を害する行為で、特定の債権者だけが弁済を受けたり担保の提供を受けたりする行為のことです。

■無償行為の否認
以下のような無償行為については否認できます。

●支払いの停止や破産手続開始の申立てがあった後の無償行為
●その前6か月以内にした無償行為
●上記と同視できる有償行為

※無償行為
…ここでは、破産者が行う何の対価も得られない行為、例えば贈与や無償での保証債務の負担行為などのことです。

■相当対価処分の場合の否認
不動産を売却した金銭を債務者が隠してしまうとか、流用する目的で売却することを知っていた場合に否認することができます。


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