破産手続

・破産手続の開始の要件について
・破産者は破産手続開始の決定がされた後について

破産手続の開始の要件について

破産手続きは、平成16年に
破産法の改正が行なわれたことによって、
非常に迅速化・合理化されました。

 

旧破産法では、破産宣告があってはじめて
破産手続が開始されていたのですが、
この法改正により、破産宣告という名称はなくなり
破産手続の開始の決定と改められています。

 

破産手続の開始の要件は、個人が「支払不能」であることです。
また、法人の場合は、これ以外に「債務超過」でも破産が認められます。

 

これにより、破産手続の開始を申し立てると、
破産裁判所が申立書の完備と要件の具備を確認し
「破産手続の開始の決定」を行います。

 

これとともに官報に公告し、
知れたる債権者に官報掲載事項の通知を行うことが必要です。

 

また、官報掲載事項には、
破産手続開始の主文のほかに
破産管財人に氏名・住所、債権届出書の期間、
債権調査期日(期間)などが記載されます。

 

ちなみに、異時廃止が見込まれる場合には、
債権届出期間等は掲載されません。

 

また、同時廃止の場合は、破産管財人も選任されず、
主文だけが掲載され手続を廃止する旨が記載されることになります。

 

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破産者は破産手続開始の決定がされた後について

では、破産者は破産手続開始の決定がされた後はどうなるのでしょうか?

 

これについてですが、破産者は、
破産手続開始後は以下のような制限を受けることになります。

 

■自己の財産のうち、自由財産となる財産以外は管理処分権を失いますので、破産財団に属する財産は破産管財人に引き渡さなければなりません。
■所有する不動産、現金、有価証券、預貯金等の重要財産について記載した書面を裁判所に提出しなければなりません。
■裁判所の許可なく居住地を離れることはできなくなります。
■必要に応じ、郵便物が破産管財人のところへ転送される措置がとられます。
■債権者集会で必要な説明を行わなければなりません。

 

また、他の法律との関係で以下のような制限も受けることになります。

 

■弁護士資格、公認会計士資格、株式会社の取締役などの資格を失います。
■後見人、保佐人、補助人になれなくなります。
■後見人、保佐人、補助人になれなくなります。
■貸金業者の重要使用人、貸金業務取扱主任者になれなくなります。
■証券外務員登録等の資格を失います。

 

さらに、同時廃止、異時廃止の場合は、
破産手続に連続して免責手続が進行していきます。

 

破産管財人や裁判所書記官は、
免責不許可自由の調査をし裁判官へ報告します。

 

そして、破産債権者の意見申述の有無や内容によって、
免責を許可するかどうかが決定されます。

 

その後、免責許可の決定が広告され、異議なく期間が経過すれば、
免責許可の決定は確定されますので、
破産者は破産債権の支払義務から免除されることになります。

 

最後に、債権者側の配当手続についてですが、

 

破産手続開始の決定時の財産は、
破産財団として破産管財人の管理に委ねられることになっています。

 

この破産管財人というのは、
破産手続開始の申し立て時に
破産手続費用を超えて配当財源が見込める場合に
選任されるものです。

 

この破産管財人が、財団債権の取り立てや引上げなどを行って、
破産財団を充実させて、それを換価し配当を行うことになります。

 

免責許可の決定がされ破産配当が終了した後は、
破産者は復権します。

 

復権すると、取締役の就任制限などの資格制限も
回復することになります。

 

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