本人以外の家族への契約意思確認

・家族に契約の意思を確認した場合について
・表見代理の規定について

妻などの家族に契約の意思を確認した場合はどうなるのでしょうか?

本人とは連絡がなかなかとれないからという理由で、
妻などの家族に契約の意思を確認した場合、
これは有効になるのでしょうか?

 

結論から申し上げますと、契約の意思確認というのは、
必ず本人にしなければなりませんので、
ご家族に対する契約の意思確認は無効ということになります。

 

ここで、あれ?
無職の妻が夫名義でクレジットの申込をするときは、
妻の意思確認だけでいいの?
と思われたかもしれません。

 

実は、これはそういうことではありません。

 

たとえば、無職の妻が、高価なブランドバックについて、
夫に内緒で夫名義でクレジットの申込をする場合には、
その妻に意思確認をしただけでは不十分です。

 

この場合には、夫から、
ブランドバックの購入契約と支払いのクレジット契約についての
締結代理権を与えられていなければなりません。

 

しかしながら、この代理権自体を妻がもっていることについて、
結局は、夫に確認しなくてはなりませんので、
内緒で購入するというのは本来はできないのです。

 

ですから例えば、連帯保証人を父親になってもらう場合も、
実際に父親に確認しなければならないということです。

 

父親が不在のことが多いからといって、
母親にかわりに確認をしても無効になってしまいます。

 

もし仮に、本当は代理権が与えられていないのに、
あたかもクレジット名義の本人が妻に代理権を与えたかのような外観をつくって、
クレジット会社がこれを信用して契約した場合は
クレジット会社側が保護されます。

 

これは、表見代理の規定によります。

 

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表見代理の規定が適用されるとどうなりますか?

この規定が適用されるときには、
クレジット会社側に過失があってはいけません。

 

また、これはケースによりけりですが、
商品を購入したり、クレジットを利用したりすることが

 

日常家事に関する行為にあたるとして、
日常家事債務の規定によって、
本人(本事例の場合は夫)に効果が及ぶこともあります。

 

理論的には、
上記のようになるのですが、

 

実際の裁判例では、
表見代理や日常家事債務を理由として、
契約の成立が認められることは実はまれです。

 

これは、消費者が保護されることが多いということがいえるといえます。

 

なので、クレジット会社側としては、
原則に従って、
契約者自身に契約意思の確認を行う必要があるのだ
ということを心得ておく必要があると思われます。

 

ちなみに、電話での本人確認ですが、
昭和59年の割賦販売法改正に係る通産省通達で、

 

個品割賦購入あっせんの場合、
電話による確認を行うときは
本人でなければ答えられないような事項を尋ねることを求めています。

 

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