商品名や分割払手数料が記入されていない立替払契約書(申込書)

・商品名や分割払手数料が記入されていない立替払契約書の有効性について
・判例について

商品名や分割払手数料が記入されていない立替払契約書は無効?

結論から申し上げますと、このような申込書であっても、
信販会社が顧客に対して、
「契約締結の意思確認」を行っていて、

 

当事者間でも契約の合意が確実に行われているのでしたら、
立替払契約は有効に成立しています。

 

なぜなら、立替払契約というのは、
当事者間の意思の合致で成立する「諾成契約」だからです。

 

なので、たとえ商品名や分割払手数料が
記入されていない場合でも、

 

信販会社が電話で、契約締結の意思確認を行う際に、
顧客に商品名や分割払手数料を正確に伝えて、
それを顧客が承諾している場合は、

 

理屈としては、
立替払契約は、有効に成立していることになるのです。

 

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では、当事者間の意思の合意がない場合はどうでしょうか?

この場合はさすがに、契約の成立自体が否定されてしまいます。

 

契約の重要な要素である、対象商品、分割手数料、
支払回数などに合意しつつ
書面に全く記載がないということは通常はありえませんので、

 

これらの記載がなく、書面の他の記載からも
その内容が了知できない場合には、
契約の成立自体が疑わしいと判断される可能性が高いです。

 

また、特定商取引法との関係ですが、
特定商取引法上、訪問販売や電話勧誘販売などの場合は、
販売業者は顧客に対して、
法定事項を記載した書面を交付することが義務づけられています。

 

これは、訪問販売の場合は、特定商取引上は
「訪問販売における書面の交付義務」
と規定され、特定商取引法施行規則では、その書面には
「商品名及び商品の商標又は製造者名」
および
「商品の型又は種類」
などを記載することになっています。

 

また、電話勧誘販売の場合は、特定商取引上は
「電話勧誘販売における書面の交付義務」
と規定され、特定商取引法施行規則では、
「商品名及び商品の商標又は製造者名」
および
「商品の型又は種類」
などを記載することになっています。

 

よって、販売店は、顧客に書面を交付していても、
「商品名」が記載されていないと、
いつまでもクーリングオフができると主張されることになります。

 

これは、商品名の代りに、
販売店にしかわからないような記号を記載している場合も同様です。

 

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判例ではどうなっていますか?

判例上は、
訪問販売で、高齢者に呉服を複数回販売したという事案で、
販売担当者名、商品の商標・製造者、機種・型式、契約数量
が記載されていなかったとして、
クーリングオフ期間の進行が否定されたものがあります。

 

割賦販売法との関係ですが、
割賦販売法の場合は、
販売店は顧客に「取引条件の表示」を行い、
顧客が販売店から商品を購入した場合には、
法定書面を交付することが義務づけられています。

 

また、この法定書面については、
割賦販売法施行規則で「契約商品名」などを記載することが義務付けられています。

 

ちなみに、割賦販売法では、
「支払総額」を記載することを義務づけているだけで、
「分割手数料」については規定していません。

 

しかしながら、販売店としては、
契約金額の根拠を明らかにするうえで必ず記載したほうがよいといえます。

 

なお、販売店が顧客に書面を交付しなかった場合には、
割賦販売法において、10万円以下の罰金に処せられることになります。

 

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