妻が夫の遺産全額を相続した場合

・借入債務の承継について
・全額債務を相続することについて

借入債務の承継について

たとえば、相続人が妻と子の2人で、
夫が亡くなったことに伴い
妻が夫の遺産全額を相続した場合は、
妻に借入債務の全額が請求されるのでしょうか?

 

結論から申し上げますと、
事業者は原則として、
妻からは借入債務の2分の1までしか請求できません。

 

判例上は、金銭債務に対する支払いなど、
性質や価値を損なわないで分割できる給付を目的として過分債務については、
法定相続分に応じて当然に分割して相続人に承継するとされています。

 

わかりやすくいうと、
相続債務というのは、当然に法定相続分に従って分割されるということです。

 

なので、この場合の債務は、妻が2分の1を、子が4分の1ずつ
(残りの2分の1をさらに2分の1ずつ分け合うことになる)
相続することになります。

 

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全額債務を相続することについて

妻が全額相続するのだから
妻が全額債務を相続するということはできるのでしょうか?

 

もちろん、そういったこともできます。

 

もし妻と子の間でそのような合意があるのであれば、
免責的債務引受契約が成立します。

 

ただ、この契約だけでは対外的な効力がありませんので、
その後債権者の同意と承認が必要です。

 

その同意と承認が得られれば、
免責的債務引受契約の成立時に
さかのぼって効力が発生することになり子は債務を免れることができます。

 

なので、その場合には
債権者は妻に全額請求できることになります。

 

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